Free audiobook in Japanese

Learn Japanese by reading and listening to Akatonbo by Niimi Nankichi.

赤とんぼ

Niimi, Nankichi

新美 南吉

Enjoy a Free Japanese Audiobook – Akatonbo by Niimi Nankichi

Looking for an engaging way to learn Japanese? Listen to Akatonbo, a classic story by renowned Japanese author Niimi Nankichi, completely free! This audiobook is perfect for language learners who want to improve listening comprehension, pronunciation, and vocabulary while enjoying authentic Japanese literature.
Listening to audiobooks is one of the most effective methods to immerse yourself in the language. With Akatonbo, you’ll experience natural Japanese narration, helping you understand sentence structure, intonation, and cultural nuances. Pair the audio with the written text to strengthen your reading skills and reinforce what you hear. This dual approach makes learning Japanese both enjoyable and practical.

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新美にいみ 南吉なんきち 赤とんぼ

赤とんぼは、 三回ほどまわって いつも休む一本いっぽん垣根 の上に、 チョイととまりました。 山里の昼は 静かです。 そして、初夏山里は、 真実ほんとうつつまれています。 赤とんぼは、 クルリ眼玉転じました 赤とんぼの休んでいるには、 朝顔つる まきついています。 昨年 この別荘主人 植えていった朝顔結んだが、 また生えたんだろう―― 赤とんぼは思いました。 今はこの家には誰もいないので、 雨戸淋しくしまっています。 赤とんぼは、 ツイの先からからだを離して 高い舞い上がりました

三四人の人が、 こっちへやって来ます 赤とんぼは、 さっきのにまたとまって、 じっと 近づいて来る人々を見ていました。 一番最初かけて来たのは、 赤いリボン帽子かぶった かあいいおじょうちゃんでした。 それから、おじょうちゃん のお母さん、 荷物ドッサリ持った書生さん―― と、こう三人です。 赤とんぼは、 かあいいおじょうちゃん 赤いリボンとまってみたくなりました。 でも、 おじょうちゃん怒るこわい ――と、赤とんぼは傾げました けど、とうとう おじょうちゃんが前へ来たとき、 赤とんぼは、 おじょうちゃんの赤いリボン 飛びうつりました 「あッ、おじょうさん 帽子赤とんぼ とまりましたよ。」 と、書生さんがさけびました 赤とんぼは、 今におじょうちゃんの手が、 自分つかまえに来やしないかと思って、 すぐ飛ぶ用意をしました。 しかし、おじょうちゃんは、 赤とんぼつかまえようともせず、 「まア、あたしの帽子に! うれしいわ!」 といって、うれしさ 跳び上がりました つばくらが、 のようにかけて行きます

かあいいおじょうちゃんは、 今まで空家だったその家に 住みこみました もちろん、お母さんや 書生さんもいっしょです。 赤とんぼは、今日も空をまわっています。 夕陽が、その いっそう赤くしています。

とんぼとんぼ

赤とんぼ

すすき の中は あぶないよ」

あどけないで、 こんな歌をうたっているのが、聞こえて来ました。 赤とんぼ は、 あのおじょうちゃんだろうと思って、 そのまま、のする方へ飛んで行きました 思った通りうたってるのは、 あのおじょうちゃんでした。 おじょうちゃんは、 行水をしながら、 一人うたってたのです。 赤とんぼ が、頭の上へ来ると、 おじょうちゃんは、 持ってたおもちゃ金魚 にぎったまま

「あたしの赤とんぼ !」 さけんで 両手を高くさし上げました。 赤とんぼ は、 とても愉快です。 書生さんが、シャボンを持って やって来ました

おじょうちゃん 背中を洗いましょうか?」

いや――」

だって――」

「いや!いや! お母さんでなくっちゃ――」

困ったおじょうさん。」

書生さんは、 かきながら歩き出しましたが、 朝顔にとまって、 ふたりの話をきいてる 赤とんぼ を見つけると、 右手を大きくグルーッ 一回まわしました な事をするな―― と思って、 赤とんぼ はその指先を見ていました。 つづけてグルグル 書生さんは右手をまわします そして、だんだん そのを小さくして赤とんぼ 近づいて来ます。 赤とんぼ は、 大きなギョロギョロ動かして、 書生さんの指先みつめています。 だんだん、円は 小さく近く、 そして早くまわって来ます 赤とんぼ は、 眼まいをしてしまいました。 つぎの瞬間赤とんぼ は、 書生さんの大きな指に はさまれていました。

おじょうさん 赤とんぼつかまえましたよ。 あげましょうか?」

ばか! あたしの赤とんぼつかまえたりなんかして―― 山田のばか!

おじょうちゃんは、 口をとがらして 書生さんにぶっかけました 書生さんは、 赤とんぼはなして 逃げて行きました。 赤とんぼ は、 ホッ として空へ飛び上がりました 良いおじょうちゃんだな、 と思いながら――

空は真青に晴れています。 どこまでも澄んでいます 赤とんぼ は、 を休めて、 書生さんのお話に 耳をかたむけています、 かあいいおじょうちゃんと同じように。

「それからね、 そのとんぼは、 怒って大蜘蛛おおぐものやつにくいかかりました くいつかれた大蜘蛛おおぐもは、 痛い! 痛い! 助けてくれってね、 大声さけんだのですよ。 すると、 出て来たわ、出て来たわ、 小さな蜘蛛が、 のように出て来ました。 けれども、とんぼは、 もともと強いんですから、 片端かたはしから蜘蛛にくいついて とうとう一匹残らず残らず 殺してしまいました。 ホッとしてそのとんぼが、 自分の姿を見ると、 これはまあどうでしょう、 蜘蛛が、 まっかついてるじゃありませんか。 さあ大変だって、 とんぼは、 飛んで行って からだを洗いました。が、 赤いちっともとれません で、神様 お願いしてみると、 お前は、罪の無い蜘蛛をたくさん殺した殺したから、 そのたたりでそんなになったんだ と、叱られてしまいました。 そのとんぼが今の赤とんぼ なんですよ。 だから、 赤とんぼ は良くないとんぼです。」

書生さんのお話は終わりました。

私は、そんな酷い事を したおぼえはないが―― と、赤とんぼ が、 首をひねって考えましたとき、 おじょうちゃん大声でさけびました

だ嘘だ! 山田のお話は、みんな嘘だよ。 あんなかあいらしい赤とんぼ が、 そんな酷い事をするなんて、 蜘蛛の赤血せっけつだなんて―― みんなだよ。」

赤とんぼ は、真実ほんとうにうれしく思いました。 例の書生さんは、 をあかくして行ってしまいました。 窓から離れて赤とんぼ は、 おじょうちゃんつかまりました

「まア! あたしの赤とんぼ かあいい赤とんぼ !」 おじょうちゃんは、 黒く澄んでいました

暑かったは、 いつの間にか すぎさってしまいました。 朝顔は、垣根まきついたまま しおれました 鈴虫が、 涼しいなくようになりました。 今日も、赤とんぼ は、 おじょうちゃんに会いにやって来ました。 赤とんぼ は、 ちょっとびっくりしました。 それは、いつも開いているが、 皆しまっているからです。 どうしたのかしら? と、赤とんぼ が考えたとき、 玄関から誰か跳び出して来ました おじょうちゃんです。 あのかあいいおじょうちゃんです。 けれども、今日のおじょうちゃんは、 悲しい顔つきでした。 そして、この別荘へはじめて 来たときかぶってた、 赤いリボンの帽子を着け、 きれいな服を着ていました。 赤とんぼ はいつものように飛んで行って おじょうちゃんにとまりました。

「あたしの赤とんぼ …… かあいい赤とんぼ …… あたし、東京へ帰るのよ、 もうお別れよ。」

おじょうちゃんは、 小さい細い 泣くように言いました。 赤とんぼ悲しくなりました。 自分おじょうちゃんといっしょに 東京へ行きたいなと思いました。 そのとき、おじょうちゃんお母さんと、 赤とんぼ にいたずらをした書生さんが、 出てまいりました。

「ではまいりましょう。」

皆、歩き出しました。 赤とんぼ は、やがておじょうちゃん 離れて 垣根の先にうつりました。

「あたしの赤とんぼ よ、 さようなら――」

かあいいおじょうちゃんは、 なんべんもふりかえっていいました。 けど、とうとう、 皆の姿 見えなくなってしまったのです。 もう、これからは、 この家は空家になるのかな―― 赤とんぼ は、しずかに 首をかたむけました

淋しい夕方など、 赤とんぼ は、 尾花穂先にとまって、 あのかあいいおじょうちゃんを思い出しています。

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